来栖恭太郎は満月に嗤う
「!!」

三人の表情が強張った。

無理もないだろう。

俺の身から、荒ぶる殺気が立ち昇っている。

あからさまなまでの、殺意…。

「さてと」

俺は一人一人指差す。

ライガンを指差し。

「北米を縄張りとする人狼」

クレオを指差し。

「エジプトを守護するミイラ男」

どちらも俺を倒して名を上げようとしてきた、世界に名だたる人外。

そして敗北の末に使用人に甘んじつつ、復讐の機会を窺ってきた連中だ。

しかし。

「リルチェッタ」

俺は彼女を指差したまま静止した。


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