来栖恭太郎は満月に嗤う
彼女の両親は、人外専門の殺し屋…いわゆるモンスターハンターという奴だった。

俺を滅殺する為にこの屋敷に訪れ、結果として返り討ちに遭い、リルチェッタはその仇を討つ為にここを再訪した訳だが…。

ならば彼女は、只の人間でなければ辻褄が合わない。

にもかかわらず、あの日庭園で見たリルチェッタの姿…。

「解せんな、リルチェッタ。お前は一体何者だ?」

「……」

愛らしい顔立ちとは裏腹の、凶悪なまでの憎悪を宿した瞳で、彼女は俺を睨み据える。

「私の正体を知りたいなら、貴方も本性を見せなさい」

「そうです、来栖恭太郎」

クレオもリルチェッタの言葉に続く。

「夕食の際の『管理の悪いボトル』では、貴方の魔力も相当落ちてしまっている筈…この三人を相手するには、本性を見せずしては勝てませんよ。長い事、新鮮な生娘の血は飲んでいないでしょうからね」

リルチェッタが一歩踏み出し、俺を指差した。

「さぁ本性を現しなさい、『真祖(デイライト・ウォーカー)』来栖恭太郎!」

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