来栖恭太郎は満月に嗤う
指摘されたリルチェッタの瞳が、憤怒の炎で染まる。

同時に両脚が、左腕もが、骨格までも変異するほどの異常な筋肉に覆われる!

そこにはもう、可憐で儚げな印象の美少女の姿はない。

復讐に駆られ、美貌を…いや、人間である事を捨て、悪魔に魂を売った醜い憎悪の化身でしかなかった。

「私はお前に人生そのものを狂わされたのよ、来栖恭太郎!私には復讐が全てなの!お前を殺す以外に生きる証はもうないの!」

張り詰め、異形というに相応しい発達を遂げた両脚の筋肉が、常人ならざる瞬発力を発揮する!

瞬時に俺との間合いを詰めたリルチェッタは、その剛腕で渾身の一撃を見舞う!

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