来栖恭太郎は満月に嗤う
苦痛に顔を歪めるリルチェッタ。

「こ…のっ!」

巨人の如き拳を握り締め、反撃に転じようとするものの。

「ぐはっ!」

その腹部に俺の下半身が蹴りを打ち込む!

分断された上半身と下半身が、それぞれ別々の意思を持って彼女に攻撃を加えた。

いわば二人の来栖恭太郎が、同時に彼女に襲い掛かる。

圧倒的な力でこの俺の肉体を引き千切ったのはいいが、むしろそれは彼女にとって裏目にしか出てはいなかった。

「そらどうした、俺に復讐を遂げるのだろう?」

拳を、蹴りを加えつつ、嘲笑する俺。

その挑発が、怒りに油を注いだのだろうか。

「だまれえぇえぇぇえっ!!」

リルチェッタの両手が、俺の上半身を平手で挟みこんだ!

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