来栖恭太郎は満月に嗤う
バチィイィィイィィンッ!

柏手のような音が、闇に包まれた樹海に音高く響く。

ちょうど合掌の形。

俺の上半身は、リルチェッタの巨大化した両手に叩き潰された格好だった。

己の体にまとわりつく蚊を叩き潰すように、この俺の上半身を両手で圧殺した。

その両手を開けば、中にあるのは見るも無惨にひしゃげ、潰され、腸をはみ出させた俺の轢死体。

…その筈だった。

しかし。

「!?」

リルチェッタが両手を開いた瞬間、そこからは数千、数万もの吸血蝙蝠の群れが溢れ出す!

その蝙蝠の群れが、俺に代わって彼女に告げる。

「所詮お前では、俺の肉体を滅ぼす事など叶わぬのだよ、リルチェッタ・スゴウ」

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