来栖恭太郎は満月に嗤う
まとわりつく吸血蝙蝠の群れ。

「うっ!くうぅっ!」

必死になって剛腕を振り回し、その群れを追い払おうとするリルチェッタ。

しかし小さく俊敏な黒い群れは、彼女の剛腕で捉える事はできない。

その牙が、リルチェッタの皮膚を食い破って滴る血を啜っていく。

上半身だけではない。

俺の残された下半身もまた、蝙蝠の群れとなる。

そしてリルチェッタに留まらず、その場に横たわっていたクレオやライガンにも再度襲い掛かる。

出来の悪い使用人達への制裁を加えるように。

このままリルチェッタ達の血を吸い尽くし、絶命させるのもまた一興。

この俺に復讐などというたわけた反乱を企てた連中には似合いの結末だ。

彼らの生殺与奪は俺の気分次第。

三人の人外達の、阿鼻叫喚が闇夜の庭園に響く。

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