来栖恭太郎は満月に嗤う
ぢゅるるるる、と。

音を立てて血を吸い上げ、飲み下す。

滑らかな舌触りと、芳醇な香り、そして味わい。

「上質な血だ…悪魔とはいえ、やはり生娘の血は至高の味…なぁ、アリカ?」

そう問いかけてやるものの、既にアリカに返答の余裕はなかった。

全身が甘美な刺激に弛緩し、肌には鳥肌が立ち、快楽に奥歯がカチカチと音を立てる。

ともすれば、失禁でもしかねないほどの快感を感じているに違いない。

そしてその快感に、彼女は抗えずにいた。

真にローゼンハイムの誇りを優先するならば、快楽に屈する事なく俺を振り解けばいい事。

しかしアリカはそれをする事なく、俺の吸血行為に甘んじている。

つまり、彼女は己の誇りを陥落させ、俺の軍門に下ったという事なのだ。

「爵位級悪魔と同等が聞いて呆れる」

嘲笑しながら、もう一啜り。

アリカの華奢な体が幾度となく痙攣し、その表情はうっとりと甘美な刺激に蕩けきる。

いわば、これがアリカ・ローゼンハイムの完全なる敗北。

彼女はその後も俺のなすがままに、吸血行為によってその身を震わせるのだった…。


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