来栖恭太郎は満月に嗤う
エピローグ
また陽が昇る。
とはいえ、『非ず者達の館』のあるこの樹海は相変わらず深く昏い暗闇。
今朝も霧深く、時折鴉が不気味な鳴き声を上げている。
陰鬱で湿り気を帯びた、清々しさの欠片も感じさせない朝。
そんな朝のまどろみの中をベッドの中で過ごしていると、別室から金切り声が聞こえる。
「何でダージリンなのよ!朝はシナモンティーだとあれ程言ったでしょう!」
苛立ちを誘う甲高い声と共に、陶器が割れるような音。
間髪入れず。
「申し訳ございません、アリカお嬢様っ!」
リルチェッタの謝る声。
更に陶器の割れる音が追加された。
「それも違う!『お嬢様』じゃなくて『アリカ様』、または『アリカ姉様』と呼べと言ったでしょう!」
とはいえ、『非ず者達の館』のあるこの樹海は相変わらず深く昏い暗闇。
今朝も霧深く、時折鴉が不気味な鳴き声を上げている。
陰鬱で湿り気を帯びた、清々しさの欠片も感じさせない朝。
そんな朝のまどろみの中をベッドの中で過ごしていると、別室から金切り声が聞こえる。
「何でダージリンなのよ!朝はシナモンティーだとあれ程言ったでしょう!」
苛立ちを誘う甲高い声と共に、陶器が割れるような音。
間髪入れず。
「申し訳ございません、アリカお嬢様っ!」
リルチェッタの謝る声。
更に陶器の割れる音が追加された。
「それも違う!『お嬢様』じゃなくて『アリカ様』、または『アリカ姉様』と呼べと言ったでしょう!」