来栖恭太郎は満月に嗤う
ようやく別室でのアリカのヒステリックな声がおさまる頃。

「おはようございます、来栖様」

極々静かなドアの音を立て、クレオが俺の部屋に入室して来た。

「起床の時間でございます。モーニングティーをお持ち致しました」

背筋を伸ばし、姿勢よくベッドのそばに立つクレオ。

その背後には、モーニングティーのセットを載せたワゴンを押す、エプロンドレス姿のリルチェッタの姿もあった。

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