来栖恭太郎は満月に嗤う
「どうぞ、来栖様」

澄ました顔でティーカップをソーサーに載せ、俺に差し出すリルチェッタ。

気づかれていないと思っている所がまた愚かしくも可愛らしい。

…数秒後、俺はこのティーカップをリルチェッタに投げつける。

熱湯の如き紅茶を湛えたティーカップをリルチェッタに叩き付け、主人に毒を盛ろうとしたメイドに対し、苛烈な罰を与えるのだ。

その時彼女は、どんな表情で脅え、どんな声で鳴き、許しを乞うのか。





今日も愉しい一日になりそうだ。

数秒後の展開を想像すると、俺は下卑た快感を抑えられずにいた…。





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