来栖恭太郎は満月に嗤う
それだけの会話を交わし、二人は部屋の前から遠ざかっていった。

朝食の準備に向かったのだろう。

…いい。

お前は実にいいぞ、リルチェッタ。

椅子に腰掛け、俺は満足げな笑みを浮かべた。

可憐な顔立ちに似合わず、彼女は屈強とも言える精神の持ち主だ。

少々の責め苦では鳴き声一つ上げないほどの、強い意志の持ち主。

どんな屈辱に耐えようとも、俺への復讐を完遂せんとする決意が見える。

その決意を砕き、完全に心身ともに俺の狗へと成り下がらざるを得ないと分かった時の彼女の表情。

どんなに抗っても、俺には決して敵わないと悟った時の彼女の心境。

そして、リルチェッタが完全に俺に屈した姿を見た時のクレオの顔。

どれも想像するだけで、背筋がゾクゾクするほどの歓喜を感じさせる。

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