来栖恭太郎は満月に嗤う
深く昏く、朝が来ても陽光さえ届かぬ樹海。
加えて終日霧深いこの森は、知る者ならば絶対に足を踏み入れず、知らぬ者ならばたやすく迷って命を落とす。
故に、この屋敷に辿り着く者など限りなく皆無。
だから俺も、この娘の事は覚えていた。
…ぼんやりと照らす灯りの中、俺は玉座の如き椅子に腰掛け、肘掛けに頬杖をつく。
視線は、嘲笑するように真っ直ぐ。
その嘲りを真っ向から受け止めるように、少女は俺を見据えていた。
軽くウエーブのかかった柔らかな金髪。
大きく、潤みを帯びた瞳。
桜の花びらの如き可憐な唇。
上質なシルクのような、白く美しい肌。
たとえるならば人形。
しかも子供の玩具ではなく、貴族連中が愛でる高価な愛玩人形のような、精巧で緻密な造りの人形を思わせる。
それ程の愛らしい少女だった。
加えて終日霧深いこの森は、知る者ならば絶対に足を踏み入れず、知らぬ者ならばたやすく迷って命を落とす。
故に、この屋敷に辿り着く者など限りなく皆無。
だから俺も、この娘の事は覚えていた。
…ぼんやりと照らす灯りの中、俺は玉座の如き椅子に腰掛け、肘掛けに頬杖をつく。
視線は、嘲笑するように真っ直ぐ。
その嘲りを真っ向から受け止めるように、少女は俺を見据えていた。
軽くウエーブのかかった柔らかな金髪。
大きく、潤みを帯びた瞳。
桜の花びらの如き可憐な唇。
上質なシルクのような、白く美しい肌。
たとえるならば人形。
しかも子供の玩具ではなく、貴族連中が愛でる高価な愛玩人形のような、精巧で緻密な造りの人形を思わせる。
それ程の愛らしい少女だった。