来栖恭太郎は満月に嗤う
俺が言葉を紡いだと同時に、狼は襲い掛かってきた!

しなやかな体をバネのように使い、一直線に俺の愛馬へと食らいかかる!

「フン」

俺は慌てる事なく手綱捌きで馬を操る。

飛びかかってくる狼に対して愛馬を後ろに向かせ、その後脚で蹴りをくれてやる!

しかし。

「!」

狼は空中で身を翻らせてその蹴りを回避。

これまたしなやかな動きで着地してみせた。

「…生意気な」

俺は狼を見る。

再び狼の襲撃!

俺もそれに合わせて、また馬を振り向かせる。

今度はタイミングを合わせて蹴りを繰り出させたつもりだったが。

「チッ!」

またも狼は蹴りを回避。

その身のこなしには、流石の俺も驚きを隠せなかった。

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