来栖恭太郎は満月に嗤う
彼女が朝から俺の部屋に訪れてきた事に、若干の驚きを禁じ得ない。

流石に今朝は起き上がれないだろうと思っていたのだ。

昨日あれだけ馬上鞭で打ってやった。

本来、分厚い皮膚を持つ馬に命令を伝える為の鞭だ。

人間の、しかも女の柔肌を力一杯打てば、どのような結果になるのか。

俺はそれを、リルチェッタ自身の肌で証明して見せた。

彼女の背中は肌が裂け、醜い蚯蚓腫れや裂傷、滴る血で二目と見れない有様になっていた。

更には傷が熱を持ち、昨夜は相当に魘された筈だ。

まともに睡眠をとる事すら叶わなかったに違いない。

痩せ我慢をするにも限界というものがある。

だが…。


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