来栖恭太郎は満月に嗤う
本性
我が屋敷、『非ず者の館』。

この屋敷のある樹海は、郊外に存在する。

樹海はあまりにも広大であり、一般の人間は、この樹海に我が屋敷が存在する事すら知らない。

樹海そのものが自殺の名所だの、人間が踏み入る事の出来ない魔境だのと言われている為、樹海の中に分け入ってまで探索しようとする者は数少ないのだ。

ごく一部の人間…俺の命を狙う者、俺の首をとって名を上げようとする者のみが、好んでこの樹海内に入り込み、屋敷を見つける事なく命を落としたり、何とか屋敷にまで辿り着いても俺に返り討ちにあったりする。

たとえばリルチェッタの両親のように。

結局この屋敷の存在は公にされる事がなく、限られた人間の間だけで、まるで都市伝説や怪談のように語り継がれているのだ。


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