来栖恭太郎は満月に嗤う
もう一度ライガンを調教し直し、二度と咆哮を上げる事などできないよう、絶対服従をさせる事は簡単だ。

むしろ手加減を誤って死なせてしまわないかの方が難しい。

だからわざわざ俺自身が手を煩わせて、ライガンを再度調教し直すのは面倒だった。

屋敷の主たるこの俺が、二度も獣臭い畜生相手に鞭を振るうのも面白くない。

かと言って、いつまでもあの犬コロが生意気に吠え掛かってくるのも気に入らない。

いっそクレオにでも調教を命じるか…。

腕組みし、我が物顔で敷地内を闊歩するライガンを見る。


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