来栖恭太郎は満月に嗤う
そして、ふと。

俺は名案を思いついた。

そうだ、リルチェッタがいるではないかと。

あの娘が只の非力な少女ならば、ライガンの調教などとても務まるものではない。

調教どころか、逆に噛み殺されるのが関の山だろう。

だが。

俺はリルチェッタに対し、ある疑念を抱いていた。

先日の鞭打ち以来、あの娘にはある疑惑を持っているのだ。

ライガンへの調教を利用して、リルチェッタを少々試そうと考えた。

本人に真相を尋ねるなどと無粋だし愚の骨頂。

本人に口を割らせる事なく、その隠している本性を見破る。

退屈しのぎの余興として、なかなかに愉しい謎解きだと考えたのだ。

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