来栖恭太郎は満月に嗤う
何も知らずに手入れを始めるリルチェッタ。

俺は密かにその様子を屋敷二階の一室、カーテンの陰に隠れて窺う。

…事前にクレオに、ある命令をしておいた。

そろそろその命令を実行に移している筈。

眼下の光景を窺っていると。

「……!」

何かの気配に気づき、庭仕事の手を止めてリルチェッタが振り向いた。

そこにいたのは、獰猛な眼で彼女を視界に捉え、唸り声を上げるライガンの姿!

俺が事前にクレオにしておいた命令。

それはライガンをけしかけ、リルチェッタのそばへと近づける事だったのだ。

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