来栖恭太郎は満月に嗤う
次の瞬間!

「きゃあっ!」

ライガンはバネのようなしなやかな体躯を躍動させ、リルチェッタに飛びかかった!

大きく顎を開け、鋭い刃物のような牙を剥き出しにして、リルチェッタの白い肌を食い破ろうとする!

速度も跳躍の高さも十分。

確実にライガンの牙は、リルチェッタを捉える!

が。

「あぅっ!」

運よく彼女は、花壇の煉瓦に足を取られて後方に転倒。

そのお陰でライガンの初撃を回避する事ができた。

「……!」

着地し、素早く向き直るライガン。

ひ弱そうな獲物であるリルチェッタを仕留め損ね、気にいらなげに唸る。

「ひ、ひぃぃぃ…!」

リルチェッタの方は完全に気が動転しているようだった。

オタオタと四つん這いになり、震える膝に鞭打ちながら、何とか立ち上がる。

モタモタしてはいられない。

早々に逃げなければ、ライガンの餌になるのは自分自身だった。


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