来栖恭太郎は満月に嗤う
興が削がれた。

事実リルチェッタは、ライガンに壁際に追い詰められて逃げ場を失ってしまった。

ジリジリと近づくライガン。

後ずさりする場すら失い、壁際で恐れおののくリルチェッタ。

これにてチェックメイトか…。

興味をなくし、視線を逸らそうとしたその時だった。

「お願いよライガン」

リルチェッタが震えながら言葉を紡いだ。

「できる事なら貴方を傷つけたくないの。このまま退いて?お願いだから…」

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