来栖恭太郎は満月に嗤う
最大級の侮蔑の言葉。

その言葉がハルパスの理性を断ち切り、殺意を駆り立てるには十分だった。

まるで機関銃のように、高圧の水流を連射する!

対する俺も、魚相手に逃げ惑うなどという無様は見せないと宣言したばかりだ。

公言通り逃げも隠れもせず。

「!!!!!」

ハルパスの水流をこの身で浴びた。

心臓を、喉を、鳩尾を、脳天を。

人体の急所という急所を、弾丸の如き水流が穿つ。

極限にまで圧縮されたそれは、水とはいえ半端な刃物よりも遥かに鋭く、貫通力のあるものだった。

生身のこの俺の肉体など、抵抗すら感じさせずに貫いていく。

己の体を異物が通り抜けていく感触。

その感触に…。

< 96 / 162 >

この作品をシェア

pagetop