★あいつは教育係☆

デート?

「お帰りなさいませ!ご主人様!」

いつものように、ご主人様という名のお客様に接客をしていたら、信次に呼び止められた。

「今日、バイトが終わったら、実習室に来い。」

とだけ言うと、信次はすぐに接客しに行ってしまった。



何の用だろ......

実習室への呼び出しだから、もしかして説教!?

私、何かやったっけ?

もしかして、毎日一枚づつお皿割ってたのバレてた!?

きちんと隠してたつもりだったのに......



バイトが終わって、実習室の前。

あー。入りたくない......

逃げちゃおうかな?
うん!逃げちゃえ!

回れー右!

「何してんだ?お前。」



......
相原信次......
もう実習室に入ってたと思ったのに!

......
逃げ出そうとしたの、バレたかな......?



でも、信次は気付いていないらしく

「早く中入れよ。」
と言って、先に入って行った。

良かった。
バレてない......
でも、結局逃げられないのね......

私は、ため息をついて中に入って行った。



「何か......ご用でしょうか......」

......
無言。返事なし。



怒るなら、さっさと怒ってよ!
沈黙が余計に恐い......



でも、信次の口からでた言葉は、予想外のものだった。



「お前、明日何か用事あるか?」

ん?明日?土曜日?
バイトも休みだし......

「特に予定はないよ。」

と私が言うと

「明日、11時にここに来い。」

「へ?何で?」

私が頭を傾げると

「明日一日付き合え。......拒否権はない。」

拒否権はないって......
あんたは王様ですか!?



でも

断ったら、絶対恐いし......別に用事はないし......

「分ったよ。」

と私が言うと、信次はちょっと笑って

「遅れんなよ?」

って言った。



どこ行くんだろう?
でも、これってなんか......デートじゃない!?
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