★あいつは教育係☆
うわー!

うわー!

うわー!!

ついに言っちゃったよ!

てか、なんかシーンとしてるんですけど?



うぅ......

沈黙が辛い。

視線が痛い。

信次......

黙ってないでなんとか言ってよ......



あー。もう泣きそう......

うち、こんなに涙もろかったっけ?

昔は、フラれてもすぐにコロッと立ち直ってたのに......



「何泣いてんだよ......」

信次が静かに言う。

ちょっと呆れた感じの言い方だったけど

いつもの信次だ......


「泣いてなんかないもんっ!」

と私が言うと

信次はため息を一つついてから

私の手をギュッと握って

「ちょっとこっちに来い!」

と言って、私を引っ張って行った。

「えっ?信次!?ちょ......何処に行くの?」

と私が聞いても、信次は何も言わないで、ただ私の手を引っ張って行くだけだった。


シーンとしていた会場もざわめきだし

お嬢様の一人と踊っていたアレンさんが

「ひゅー♪やるねぇ信次!綾菜ちゃーん!頑張ってね~!」

と言った。

頑張って......何を?



信次に連れられて、会場を出る間際、雅哉さんを見た。

隣には、私に手をふる奈々子さんがいた。

えっ?
なんで?

もしかして、雅哉さんの彼女って、奈々子さん!?


奈々子さんは、私に何か言ったみたいだったけど、よく聞こえなかった。

でも

「大丈夫だよ。」

って、言ってくれたんだと思う......

そして、私は信次と会場をあとにした。
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