★あいつは教育係☆
「お前、雅哉さんの事が好きだろ?」
その瞬間、綾菜の表情が変わる。

......やっぱりな。

一歩近付く。

「雅哉さん目当てで入ってきたんだろ?」

一歩......
一歩......

綾菜は怯えているのか、動こうとしない。

俺は綾菜の耳元で

「俺、お前の事嫌い。」
そう言い捨てて、部屋を出た。

......立ち止まる。

泣き声が聞こえる。
やり過ぎたか?

......部屋の中から綾菜の叫び声が聞こえてきた。
微かに涙声だった。

「負けない!辞めてなんかやらないんだから!」

「私だって、あんたの事なんか大嫌いだよ!」

「くっ...ふっ...ははっ。」

上等じゃねぇか。

綾菜は、他の奴等とはなんか違った。

でも、この時はまだ、ただの根性ある奴にしか思っていなかった。
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