★あいつは教育係☆
「ところでさ、その紙袋に入っているドレスは何?」

と信次が私の側にある紙袋を指差した。

あー!

「そういえば、忘れてた!これはね、信次とこれ着てダンスを踊りなさいって、皆がくれたの。」

紙袋から淡いピンクのドレスを取り出して見せた。

信次はドレスをジッーッと見て

「じゃあ着ろよ。」

と言った。

へっ?

「せっかく貰ったんだろ?着ないのも失礼だろ。ほら、後ろ向いててやるから、サッサと着替えろよ。」

うー......

後ろ向いてたって、なんか恥ずかしいんだよな......

でも、確かにせっかくくれたんだもん。着なきゃね?


私はちょっと恥ずかしながらも、ドレスに着替えた。




「着替えたよ。」

私が言うと

信次が振り向く。

私のドレス姿をジーッと見て

「綺麗だな。」

って微笑んだ。

本当?

なんて、喜んだのもつかの間。

「ドレスがな。」

......

ドレスがかぃ!


「そーですね。ドレスは!可愛いですよね。」

私がちょっとふてくされて言うと

「冗談!お前含めて綺麗だよ!」

って言いながら

私の手にキスをして

「踊って頂けますか?」

と言った。

勿論私の答えは

「はい。喜んで。」


会場内から少しだけ聞こえる音楽に合わせて、私達は踊った。
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