★あいつは教育係☆
その場へ行ってみると

やはり、女一人が数名の男女とやり合っている。

だが、ただの喧嘩ではなく、端っこに怯えている男がいる事から

女が、この男を助けたとみた。

ふむ。喧嘩はいけない事だが、何とも正義感溢れる女なんだ。

これはやっぱり俺も、助太刀をしなくてはいけないな。



女の背後に回って、金属バッドを振り落とそうとしている男の腕を俺は軽く掴んだ。

周りがざわめく。

男は

「なんだよ!テメェ!」

と、俺の手を払いのけようとしたので、俺は手の力を強くし、そのまま男を放り投げた。

「日本男子たるもの、必ず武道を習わなければいけない。」

という父方のじぃちゃんの教えに従って

俺は高校まで合気道を習っていた。

だから、この程度ぐらいなら楽勝だ。


他の男も

「コノヤロー!」

と棒を振り上げてきたが、サッと攻撃をかわし、この男も投げ飛ばしてやった。

これを見て、流石に勝目がないと思ったのか、他の奴等は全員走って逃げて行った。



「あの......ありがとうございました。」

ブルブルと怯えていた男が俺に礼を言いにきた。

話を聞くと、さっきの奴等にカツアゲされそうになったところに、少女が助けに入ったのだという。


男は少女にもお礼を言い、立ち去った。


この場には、俺と少女の二人だけになってしまった。

暫く沈黙が続いた後


少女が「ありがと......」

とちょっと恥ずかしながら言った。

「あぁ。別に当たり前の事をしただけ......」

少女と目があう。

ん?あれ?

なんか見た事あるんだけど......

少女も俺の顔をジッと見て

「あっ!Sweet☆Rainの五十嵐徹!」

......なんで知ってるんだ?

......

「あ!お前Sweet☆Rainでいつも誰も指名もしないで、紅茶とケーキだけ食べて帰るヤンキー少女!」

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