★あいつは教育係☆
菊地和希
「お嬢様!ケーキをお持ち致しました!」

「キャー!今日も和希くん可愛いー!」


フッ......当たり前だろ。
可愛くしてんだから。

あーあ......

どいつもコイツも人の事可愛いだの弟みたいだの......

言っておくけどな、俺は今大学3年生!つまり今年21歳なんだぞ。

可愛いって言われて誰が喜ぶかっての。

まぁSweet☆Rainでは可愛い&弟タイプ担当だから、別に良いけど......



「和希くん。5番テーブルのお嬢様方から指名入ったよ。」

とオーナーに言われて

「はーい!」

と俺は無駄に元気に返事をし、5番テーブルへと向かった。

内心、面倒くせぇと思いながらも......



「お呼びでしょうか?お嬢様!」

初めての客だから

可愛さ5割増で接客した。

客は高校生らしく

制服を着ていた。

一人が俺を見て

「やっぱり超可愛いー!」

と叫んだ。

だから、可愛いって言われても嬉しくねぇんだよ。

ましてや、お前みたいな女子高生なんかに!

なんて思ったが

ここはグッと我慢して

「そうですか?ありがとうございます!......でもなんか照れちゃいますよ......それにお嬢様の方がお可愛らしいですよ?」

と俺はニコリと微笑んだ。

よし。これでコイツは俺のトリコ間違いなしだろう。


実際、俺の勘は間違ってなかった。
俺を可愛いと言った子は完璧に俺のトリコになっていたみたいだし。

でも、ただ一つ予想外だったのは、その子の付き添いで来たらしい、見た感じ優等生っぽい女が

俺の顔をジッとみて

「なんか、キャラ作っているみたい。」

と誰にも聞こえないようにボソッと言った事だった。

俺に聞こえないように言ったつもりのようだったが、自分の悪口だけはどんなに遠く離れていても聞こえるこの俺には

勿論バッチリ聞こえた。


とりあえず俺は、すぐさま注文をとって、一度5番テーブルから離れた。
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