★あいつは教育係☆
「ごめんなさい!」

一生懸命頭を下げて謝る霞ちゃん。


ただ今俺達がいる場所は、終点の無人駅。


霞ちゃんも疲れていたらしく、一緒に寝ちゃったらしく......

気付いたのは、終点に着いた時だった。



「あはは~。大丈夫だよ。本当に寝ちゃった俺も悪いしね~。でも、電車くるまであと1時間ぐらいあるね~。」


まぁ、俺は霞ちゃんと長くいられるから嬉しいけどね。



「電車くるまで、話でもしてよっか?」

と言うと霞ちゃんは小さく頷いた。

本当の事言うと

お喋りじゃなくてもっと別な事したいんだけどねぇ。




「あの~......アレンさんって偽名なんですよね?」

不意に霞ちゃんが聞いてきた。

「うん。偽名ってかSweet☆Rainの芸名だけどね。」

「他の方もそうなんですか?」

また霞ちゃんが聞く。

「あはは。俺だけだよ~。他の奴等は本名。まぁ、徹は芸名かと思ったんだけど。あの顔はどう見ても外国人だろ。なのに徹!?って思ったもん。」


俺は笑って言った。

霞ちゃんも俺につられて笑って......

暫く黙ってから

「本名は、なんて言うんですか?」

と聞いた。

俺は返事に困った。

佐々木アレンと西桜寺真斗は全くの別人。

同一人物だけど、どこかが違う。


女好きで気さくな佐々木アレンと

西桜寺財閥の御曹司のつまらない西桜寺真斗......。


何も答えない俺に

霞ちゃんは

「ごめんなさい!変な事聞いてしまって......。」

と謝った。


ううん。霞ちゃんは謝らなくても良いんだよ?

ただ自信がないんだ。
本当の俺を知っても霞ちゃんが俺の側にいてくれるのか......


「今度......教えるね?」

俺は軽く笑ってそう言った。
< 79 / 94 >

この作品をシェア

pagetop