翡翠の姫君



「…エミリア」



ぼそっと呟いた。



「ふーん。」



そう言うと、この男も立ち上がって帰ろうとする。



「ちょっと!!普通、人に名前聞いたら自分も言うでしょ!?」


聞き逃げか!?



思わず叫ぶ私。


すると男はピタリと止まって、ゆっくりとこちらを向いた。



「…ガク。」



それだけ言って、また歩き出した。



ガク……ね。




失礼な男だホント。




はぁともう一つ息をついて私も歩き出した。






< 108 / 201 >

この作品をシェア

pagetop