翡翠の姫君
エミリアが…
いない…?
「…なんだって!?」
「どういう事?」
言葉が出ない俺に代わるかの様に、セルトとティナが言う。
乱れた息を整えたガクが静かに答えた。
「夕方…包帯やらガーゼやらの買い物に街へおりてから…
帰ってこないんです。
エミリアが行ったはずの店に聞くと、すでに城宛てに配達の申し出はしてあるって…」
「…って事は、買い物が終わって城に帰る途中で…」
セルトが呟く。
その言葉の先は誰もが想像した。
"連れ去られた"
"誘拐"
どちらも当てはまるだろう。
エミリアが寄り道して…
なんて事は考えられない。
だとしたら、何者かに強制的に。