翡翠の姫君



そう考えた瞬間
俺はガタッと音をたてて立ち上がり、机に立てかけておいた剣を手に取った。




「レオ」



部屋から出て行こうとすると、セルトに呼び止められる。




「今おまえが行ってどうする。
まだ、そうと決まった訳じゃない。
もう少し待ってみよう。

それに、今日は夜会だ。」



そんな冷静なセルトの言葉に、俺はグッと剣を握り締めた。



"おまえが行ってどうする"



その言葉が頭の中を駆け巡る。




………情けない。




なにが王子だ。



こんな時に俺は何もできない。




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