翡翠の姫君




「……悪い。」



そう呟いて、俺は部屋を出た。










向かった先は、あの裏庭。


そこで一番大きな木の上に登る。




そこから見える景色が好きで、ここは昔から俺の特等席になっている。





たくさんの人々で賑わう国。




―アルバニア王国。





この木に登ると、あらためて実感する。





俺はこの国の王子なんだ。


俺がこの国を守っていかなくてはならない。




"自分の立場を理解しろ"




そう自分に言い聞かす。





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