翡翠の姫君




…だけど



この国、この城の人々の顔を思い浮かべると

やっぱり最後に思い浮かぶのは
…あの笑顔。





俺はこの国も城も
そしてエミリアも。



全部が大事なんだ。







だから、どうか―





「…無事でいろ、エミリア。」






綺麗な夕日に染まる城下を見据えて、呟いた。





俺は俺のやるべき事をする。



一国の王子として。




「とりあえず…夜会だ。」





深く息をついて、俺は木から飛び降りた。






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