翡翠の姫君
「おまえ1人か?
………エミリアは?」
恐る恐る尋ねてみた。
いつもいるはずのエミリアがいない。
「………あっ…と…
……………逃げました。」
ガクが小さい声でボソッと呟いた。
「…………やっぱりな…」
俺もため息と一緒に小さな声が出る。
ちらっと医務室の奥の方を見ると、裏口が開いていた。
あそこから出たんなら…森か?
「…終わりました。
また痛みとかあったら来て下さい。」
「わかった、ありがとう。」
丁寧に包帯が巻かれた腕を見て、俺は立ち上がった。
―さぁ
…行くか。