翡翠の姫君





すると
レオがスッと立ち上がって、私の涙を拭ってくれた。




はっきりとレオの顔が見える。




私の涙を拭いながら、優しく微笑んでいる大好きな笑顔。






「…エミリア。

俺は…この国の王子で
これから先もずっとアルバニア王国を守っていかないといけない。」




真っ直ぐな瞳で私を見つめる。





「だけど…俺は
この国と同じくらい、おまえの事も大事なんだ。


この国と同じくらい…
これからもずっと、おまえの事を守るから。」





止まりかけていた涙が
今度はゆっくりと頬をつたった。





「だから、王子としての俺もひっくるめて…


ずっと…俺の隣にいてくれ。
おまえは何もしなくていい。

ただ、そばで笑っていてくれればそれでいいから。」





私の頬を優しく包んでくれているレオの掌に、私の掌を重ねて。



レオを見つめて微笑んだ。





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