翡翠の姫君
いつもの様に裏口からゆっくり入る。
気づかれないように
私の部屋まで行く間
どうか出会わないように
心の中で何度も祈りながら
―でも、そんな簡単にはいかない。
「こんな時間まで…どこ行ってたんだい?」
その低い声に、ビクッと肩が揺れる。
「あ…義母さま…」
声が
体が
震える
「…勝手なことばかりして!!私に拾われた分際で!!!」
バッと振りかざされる手。
気づけば身体中に鈍い痛みが走る。
あぁ、早く明日にならないか
また…この繰り返し。