翡翠の姫君



…どれくらい眺めていたのだろうか。



眠るエミリアの顔をずっと見ていた。



さらさらとなびく髪に触れようと、頬に置いていた手を動かした時



「ん…………?」



眠たそうな声と共に、エミリアの体がわずかに揺れた。



反射的にバッと手を引っ込める。



ゆっくりと開かれる大きな瞳。



「あ。起きたか、エミリア。」


俺は冷静を装って話しかけた。


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