ソプラノ
-syunsuke-
俺は中二の春、父さんの仕事の都合で、大阪から東京に引っ越してきた。













「今日は転校生を紹介する」






担任の先生が、2-Bの生徒に向かって言う。






「じゃあ、軽く自己紹介な」




担任が俺に向かって言うと、クラス全員の視線が俺に向けられる。




―うわぁ・・・何や緊張すんなぁ・・・。






「橘俊介です。大阪から引っ越してきました」




慣れない標準語で軽く自己紹介すると、「あの席だ」と担任が指差す席に向かった。







―一番後ろの一番端の席。






目が悪い俺にはだいぶきつい席だが、一番前で目立つのも嫌だった俺は、ただ静かに席についた。










「初めましてっ!あたし、安西柚!」




右側から聞こえてきた声。





「え?あ、初めまして、よろしく」





俺は笑顔で話しかけてきた女子に顔を向け、頭を下げた。






「大阪から来たんでしょ?大阪弁しゃべんないの?」

「大阪って1回行ったことあるけど~、どの辺に住んでたの?」

「彼女いる?」




と、その女子はずいっと俺の席に椅子ごと近付くと、質問攻めしてきた。







「え・・・・と?」




俺はどうしていいか分からず混乱した。
















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