ソプラノ
両手にペットボトルを抱え、脇に網を挟む。






よろよろと、危なっかしい足取りで、歩くおれ。






足元に置いてあったダンボールに躓き、足がよろけた。









「っ!?」






バランスを崩し、後ろに倒れる・・・・と思った時。









薬品を見ていた人にぶつかった。









「っと・・・・すいません」





おれは、落ちたペットボトルを拾い上げ、ぶつかった人に謝った。













おれは「重っ」と面倒くさそうに言うと、ペットボトルを丁寧に持ち直し、再び歩き始めた。










「あ・・・ねぇ!」







後ろから声をかけられて立ち止まる。








―あ。さっきぶつかった人。






その人は、白くスラッとした体型の、同い年くらいの女の子だった。






女の子は、白く細い手で、黒い財布を拾う。









おれは、ポケットに兄ちゃんの財布が無い事に、今初めて気がついた。






「はい」





女の子は、優しく微笑みながら、財布をおれの手に握らせた。












「ありがとう」





俺は少し頬を赤らめながら、お礼を言った。














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