ソプラノ
ガチャ・・・・・ツーッツーッ・・・・



―虚しく響く音。






あたしのスキニーに、黒いシミを作っていく、涙。





この涙は無駄じゃない。




ちゃんと弾が考えて出した結果の涙。




ちゃんと弾を好きだったと言える証・・・・。






「うっ・・・・ぁっ・・・」





―でも、涙は一向止まらないの。





「どうしてっ?止まれ、止まれ、止ま・・・れぇ・・・止まってよぉ・・・」








―あたしは涙が枯れるまで、“あなた”のために涙を流し続けるのかなぁ?










~♪♪~~~~♪~♪~♪・・・・・・






ふいに流れた着メロ。





携帯を手にすると“陸”の表示。





「陸?・・・・・・どうしたの?」




あたしは泣いてた事がバレないようにと必死に声を出した。




『泣いてただろ、お前・・・』






「泣いてないよ?」




あたしは素直じゃないなぁ。






『泣いてる。俺分かるんだよね。由希耐用のセンサー付いてるもん』




陸は静かに笑っていった。



―どうして?どうして分かっちゃうの?


―幼馴染の陸。いつもなぐさめてくれたね。



―陸・・・・陸・・・・。



「苦しいよ・・・・・」




『由希、外見て?』




あたしは戸惑いながらも、カーテンを開け、窓を開けた。



―あたしが見たもの。




それは、近くの砂利に書かれた大きな文字。










“俺はいつでも見方だぞ!^^”








「・・・ばぁか、“見方”じゃなくて“味方”だしっ!」









あたしは陸の行動を、馬鹿馬鹿しいと思いながらも笑っていた。

















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