ソプラノ
友達
今日は朝から雨だ。




病室の中がジメジメして気持ち悪い。





今日は休日。





だからなのか、いつものメンバーが俺の病室に揃っている。







「なぁなぁっ!暇!何かしようぜっ!」



陸が俊介に抱きつき、柚と由希も「そーだそーだ!」って同意してる。



「暇、って言われてもどーしようもねえよ。ここ病院だから」




俺は、ベッドから4人に言い返す。






「えーっ!!俺ら来た意味なくね?!」




「お前らは何しに来たんだよ!!」




俺は一番近くにいた俊介をつかまえて言った。



「ちょぉやめてやー!せっかくセットした髪が崩れるやんか!」




俊介が俺の腕から逃げようとする。




「暇なら病院探索でもしてこい、暇人共が」






俺はやっと俊介を解放し、シャツの腕を捲り上げながら言った。




「おっ、それ賛成♪それではみなさん、行きましょうか!」



「えっ、おい、俺はいいって」





「いいとかないから!強制です」




陸と俊介に腕を掴まれ、渋々病室を出る。







「あれ?弾くんお友達?」



ちょうどそこへ凛さんが通りかかった。




「あぁ、そうなんだけど、病院探索行くっつって・・・・」




「あら、楽しそう。私も混ぜて~!!」



「凛さん仕事仕事」



「分かってます~!あ、そういえば今日から涼ちゃんの病室行っても大丈夫よ」




「了解」



俺が苦笑いすると、凛さんはニヤニヤ笑い、行ってしまった。




「今の誰誰?」


「え?担当の看護師だけど」


「へぇ~で、“涼ちゃん”って誰だよ?」



「・・・・・・・・」


「怪しい!よし、行っちゃうもんね~行くぞ俊介、由希、柚!」


「「「おうっ♪」」」





「っおい待て!」





―俺の叫びは虚しく、廊下に響いたまま。
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