ソプラノ
やっと青になった










俺が車を発進させようとしたときだった。










渡り遅れたのか、スーパー袋を提げたおばあさんが、よろよろと横断歩道を渡る。








「あ、危ねぇ・・・」







俺はおばあさんの姿を心配そうに見、無事に渡り終わったのを見届けると、残りの道のりを急いだ。














坂を上ったすぐ、白い壁に、屋根に白く輝く十字架が乗った、大きな建物が見えてきた。









俺は、関係者用の駐車場に車を停めると、ロックもかけたかどうか分からないほど急ぎ、車を後にした。













―バタンッ









俺は勢いよく待合室のドアを開けた。









「おっ、遅い登場ですなぁ、弾くん」







陸は偉そうに俺に言った。









陸は、黒ベースの白い縦じま模様が入ったタキシードを着ていた。












髪形もちゃんと整えられてて、今までで一番、かっこいいと思った。
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