ソプラノ
俺は疑問に思いながらも、龍と一緒に家の門を潜り、玄関に入った。









「母さん?龍が外に出てるよ」






俺は玄関に置いてあったタオルで、龍の足を拭きながら叫んだ。









―パタパタとスリッパで廊下を走る音が聞こえる。








「あらっ!駄目でしょ!?」




母さんは龍を抱き上げ、「めっ!」としかった。






「ただいま。父さんは?」








俺は靴を脱ぎながら、父さんがいないのに気付く。









「あら、さっきまでいたんだけど。弾が帰ってくるわよって言ったら喜んじゃって」







母さんは、クスリと笑うと、龍の足を拭いたタオルを持って洗面所に入っていった。







< 27 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop