ソプラノ
いつもなら真っ先に出迎えてくれるのは父さんなのにな。






俺は不思議に思いながらリビングに入った。







「ふぅ・・・」





ソファーに座り、我が家に帰ってきたという安心感にため息が出る。











リビングのテーブルを見ると、テーブルの上に置いてあった紙が目に入った。







近付いてみると、何か書いてある。




メモみたいだ。






“チーズケーキ”
“コーラ”
“豆腐”
“牛肉”
“ねぎ”
“糸こんにゃく”
“人参”ets・・・





―すき焼きか・・・?




つか“ets”って何だよ・・・“etc”だよ。




ぺラっと紙をめくると、『買い物に行ってきます』と父さんの汚い字が書いてあった。







「母さん、父さん買い物行ってるみたいだ」






俺は洗面所で、洗濯機から洗濯物を取り出している母さんに紙を見せた。







「あら、もー一言言っていけばいいのに」





母さんは苦笑いし、紙を受け取ると、紙をたたんでポケットに入れた。








「俺もなんか手伝うけど」





俺は母さんの横に立ち、洗濯物を乾燥機に入れた。




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