ソプラノ
出会い
さすがに毎日のようにあの声を聴いていると「涼」の顔が見たくなった。
丁度、いいところに凛さんが検査のため俺の病室にいたので聞いてみる。
「なぁ、涼って子の病室どこ?」
―今、俺は805号室の前の廊下に立っている。
気になったとはいえ、急に知らない男子が病室に入ってきたら困るだろうか?
―少し戸惑ったあげく、病室のドアをノックする。
「はい?」
あの声だ。
「あのぉ・・・どうぞ?」
一向に病室に入ろうとしない俺を不審に思ったのか、「涼」は内側からドアを開けた。
―サアッ・・・・・
涼の病室を通り抜けてきた風が俺の全身にあたる。
「・・・違ってたらごめんね?早川弾くん?」
涼は俺の名前を口にした。
「えっ・・・・と?」
「なぜ俺の名前を知っているのか」と聞きたかったが、言葉が出てこない。
焦っている俺を見て、涼は笑った。
―その時の涼の笑った顔が、とても綺麗だった。