ソプラノ
「ねぇ、涼ちゃんオリオン座って知ってる?」





あたしは空を見上げながら呟く。






「え?うん、知ってるよ?」





涼ちゃんは何故そのことを聞いたのか、と疑問に思ったのか、首を傾げた。






「最初に覚えた星座がね、オリオン座」




「そうなの?」



「弾にね、教えたもらって、覚えたんだ。小学校の時、天文クラブっていう活動があっ てね、弾と一緒に入ったんだぁ」


あたしはキラキラと輝く星空を見上げながら小さく笑う。



「でね、6年生の時、絶対弾に告白しよう!って思ってたのに、全然できなかったん  だ」


「どうして?」



「弾ね、恋愛に興味が全く無かったの!でね、『今日も告られたけど振った』とか   言うんだよ?だから、あたしまで自信なくしちゃってさ」




由希は寂しそうに俯いた。




「ゆ、由希ちゃんは、まだ告白してないの?」



涼ちゃんが、あたしに小さく問う。




「ううん、こないだ勢いで告白しちゃったの。でも、振られちゃった!」



あたしは顔を上げて笑った。




「由希ちゃん・・・・無理してない?」




涼ちゃんは静かに言った。









―涼ちゃんは優しいね。




そう言おうと思ったけど、上手く言葉にできなかった。
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