ソプラノ
「おい」













涼は俺の短い呼びかけに、肩をビクッと震わせ、恐る恐る振り向いた。




俺の顔を見るなり、涼の顔はだんだんとピンク色に染まっていく。









「だ・・・・・弾!?」




涼はすごい勢いで立ち上がった。













「昨日の事なんだけど」








俺は涼を直視せず、頭を掻きながら言った。








「あ・・・・・」




涼は気まずそうに、自分の髪を指に絡めた。













「俺も、好きだ」









―思い切って発した言葉。




なぜか、声が震えた。




ずっと、伝えたかった想い。




―やっと、涼に届いた。







“好きだ”・・・その言葉が云えただけで、俺はなぜこんなにも・・・安心しているんだろう?






俺は、その時初めて、涼を直視した。






涼も俺の顔を見上げて。







―目が合う。






涼は嬉しそうに微笑むと、






「・・・弾?私、今一番幸せかもぉ・・・」





と、泣き出した。
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