ソプラノ
会いたい
互いの気持ちを知り、俺達はもっと近付けたと思う。









―そんな矢先だった。










涼の体調がまた悪くなったと、凛さんに告げられる。







一緒にいた日にちよりも、会えない日のほうが多くなった。











―“会いたい”








俺は強く思った。










一瞬、忘れている事があるような気がして、頭の記憶を巡らせる。









―入院した日のことを思い出す。


“肺炎ですね”


“ここが病室です”


“涼ちゃんのことかな?”


“言われなくても来るって”


―違う、違う、違う!









“病気が治らなくてね、もう入院して2年になるわ。”






―ズキンッ





凛さんの言葉が頭を過ぎる。








「“2年”?」






俺は、何故あの時気付かなかったのだろう。






何故、聞き流していたのだろう。






何故・・・・・・・。






―俺の頭の中には、涼の笑顔が鮮明に映し出されていた。



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