ソプラノ
朝、起きると9時30分だ。



「んーっ」







眠たくてしかたなかったが、体を引きずって屋上へ。




―キイッ


ドアを開けると、眩しい光が全身に当たり、よろめく。




「あ~無理・・・眩しい」


俺はベンチに腰を落とした。






―屋上の花には蝶が群れ、木には鳥がとまり、さえずっている。





「弾。おはよ!」

涼が後ろから声をかける。



「ん、朝からどうした?」



振り向くと涼はいなくて。



「こっち」


いつのまにか涼は大きな花壇のそばに立っていた。


・・・なんだ?



涼はその場にしゃがみ込むと花を指差す。


「綺麗でしょ?」

涼はその場所を微笑みながら見つめていた。




―それは、花に蝶が群れている光景。








たくさんの蝶が一色の色を作っているみたいだ。





「すげぇな・・・涼はいつも見に来てんのか?」



「うん、元気が出るからね!」



涼はあいかわらず、一点だけを見ている。







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