ソプラノ
明日が涼ちゃんの手術日だ。









私は震える手で、患者さんのカルテを書いていた。





「助かる」「助からない」のどちらかが、涼ちゃんの運命を決める。








―でも、私は「助かる」「助からない」の問題なんかでは、涼ちゃんの運命を決めることはできないと思った。








私はただ、いつまでも涼ちゃんに笑っていてほしいだけなの。








ただ・・・・涼ちゃんと、笑って話し続けることができればそれだけでいいの。





くだらない馬鹿話をして、



イケメンを見つけたら涼ちゃんに報告して・・・。





そんな日々が、続いてくれたらいいなって思うの。









―ねぇ涼ちゃん、手術が終わったら、歌を聴かせてね。







私は溢れそうな涙を、手で抑え、カルテに向かってペンを奔らせた。
< 83 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop